〈経過説明〉
「鶴岡まちなかキネマ」は、昭和初期に建築された木造の絹織物工場の跡地をリノベーションして、4スクリーンある映画館として2010年に開館した。
中心市街地の活性化を目的に地元企業が出資した民間企業(株)まちづくり鶴岡が運営を担い、封切映画などの上映に加え「つるおか食文化映画祭」など地域文化に密着した企画や、商店街と連携した割引サービスやイベントへの参加などの地域を巻き込む施策などにより、年間最大8万人の観客を数えた。
しかし、新型コロナウイルスによる影響もあり、2020年5月に閉館し、(株)まちづくり鶴岡は清算されることになった。
閉館した「鶴岡まちなかキネマ」の土地建物について、本部事務局の移転整備を計画していた鶴岡市社会福祉協議会が取得し、地域貢献として映画機能をもつ交流スペースとして2スクリーンを残し、このスペースの運営を商店街振興、地域活性化を図る山王まちづくり(株)が担うという構想について、市も加わり協議検討し、合意形成を進めた。
そして、2021年3月に鶴岡市、鶴岡市社会福祉協議会、山王まちづくり(株)の3者によって、旧まちキネの保全と映画機能を生かした交流人口の拡大を図り、中心市街地の活性化に資することを目的に協定を締結した。
〈目指していくこと〉
山王まちづくり株式会社は、中心商店街の活性化を目的に2010年に設立した会社です。
映画館の運営に取り組むことが、まちなかの賑わいづくりに役立てると考えています。
映画館という場所を通じて市民が娯楽としてだけではなく、様々な学びや感動を得て、心豊かな暮らしを送ることに貢献できることを目指します。
また、社会福祉協議会の所有する土地建物をお借りすることになるわけですから、福祉分野に注力した企画はもちろんのこと、「学校の課外活動として映画鑑賞を取り入れられないか?」という声も挙がっており、教育という視点からの映画館の役割についても今後、鶴岡市と運営協議会を開催していき、行政機関各部署と連携して、映画館を使った活動計画を組み入れてもらうことで、映画館の安定した運営に力添えをお願いしていきます。
映画館の上映スペースが80席と40席の2スクリーンに縮小することから、大手配給会社の最新作の上映は難しくなると考えられます。
しかし、日本国内で公開される映画は、年間1,000本を超えるといわれています。いかに上映する作品を選ぶかは最重要事項であり、できるだけ話題性が高く、誰もが見たいと思う作品を上映していくことが理想ですが、広く知られているわけではなくとも感動や共感を得られる作品、様々な視点を持ったドキュメンタリーなど、見応えを感じられる作品は数多くあると思います。
1日に4~5本の作品を上映し、毎回作品を替えるなど、多彩なプログラムを組んでいくことで、市民の要望に応えていけると考えています。
持続可能な映画館にしていくためには市民の協力、支援が重要です。
鶴岡市内外から一万人を超える署名を集めた「まちキネの存続と再生を願う会」の精力的な活動に敬意を表し、良好な関係を築くとともに、山王まちづくり(株)における映画事業プロジェクトチームとして、新たに「新まちキネの運営を考える会」を立ち上げ、協議を重ねています。
映画鑑賞サークルなどの市民団体とも協力関係を築いていきます。
さらに個人として映画に愛情、こだわりを持っている市民も多くいると思います。
広く市民の声を募り、少数の意見にも真剣に向き合い、市民が参加意識を持てる運営を目指し、その受け皿となりうるサポーター組織を充実させます。
「鶴岡まちなかキネマ」は、残念ながら10年間の営業で閉館しましたが、開館に至るまではもちろんのこと、開館してからも営業を継続していくために、大変な努力を積み重ねてきたものと思います。映画文化を地域に根付かせてきた功績とともに、周辺の商店街と共同でイベントを企画するなど、中心市街地の衰退に歯止めをかける役割も果たしてきました。
山王まちづくり(株)は、「鶴岡まちなかキネマ」がこれまで積み上げてきた功績を無にはしないという想いのもと、広く市民に親しまれた「鶴岡まちなかキネマ」という名称を引き継がせていただき、新たな形での映画館の出発、継続、そして発展を目指す所存です。
山王まちづくり株式会社
「鶴岡まちなかキネマ」は昭和初期に建築された木造の絹織物工場をリノベーションした映画館です。2010年に開館しましたが、新型コロナウィルス感染拡大の影響があり2020年5月に閉館しました。その後新たに山王まちづくり株式会社が運営母体となり、2023年3月25日に再オープンしました。