ぼくたちの哲学教室

北アイルランド紛争によりプロテスタントとカトリックの対立が長く続いたベルファストの街にあるホーリークロス男子小学校。この学校で主要科目になっている「哲学」の授業を2年間にわたって記録したドキュメンタリー。威厳と愛嬌を兼ね備えたケヴィン・マカリービー校長の「どんな意見にも価値がある」との教えのもと、子どもたちは異なる立場の意見に耳を傾けながら自らの思考を整理し言葉にしていく。新たな憎しみの連鎖を生み出さないために、哲学的思考と対話による問題解決を探るケヴィン校長の大いなる挑戦を映画化したのは、アイルランドのドキュメンタリー作家ナーサ・ニ・キアナンと、ベルファスト出身の映画編集者デクラン・マッグラ。およそ2年に及ぶ撮影期間中にパンデミックが起こり、インターネット上のトラブルという新たな問題が表面化するなど子どもをめぐる環境の変化も捉えている。